悪魔なキミと愛契約
ハッと振り返る。
聞き覚えのある、冷酷な声。
――ヘイリ。
私は身の危険を感じ、一歩二歩と後ずさった。
そんな私を見て、ヘイリはニヤリと口角を上げた。
「そんなに怖がらなくてもよい。
もう少し近づきたまえ」
「………」
私はヘイリに返事をすることなく後ずさりを続けた。
ルカやシキの名を叫ぶ余裕さえなかった。
「ああ、私はとても悲しい。
あなたのような美しい女性に避けられるとは」
「お、おまえ、一体なにを企んでいる」
「おや?
この私に何か企みがあるとでも?」
とぼけんなよ。
何か企みがあるから、わざわざ私が一人のときに現れたんだろ?