悪魔なキミと愛契約


私がギロリとヘイリを睨みつけると、ヘイリはスーッと地を滑るように私の目の前までやってきた。


「――っ!?」


いきなりのことで、体が動かない。


私の目の前まで来たヘイリは、私の顎を掴むと、クイっと上を向かせた。


「こらこら。
乙女がそんな目をしてはいけないよ。
せっかくの美しさが台無しだ」


「は、離せっ!!」


サッとヘイリの腕を払い、体を離した。


「おかしいな。
私はこう見えて、女性にはかなり人気があるんだけどな」


「………」


「あなたのような美しい女性に避けられるようでは、私もまだまだ未熟者ということ、か」


残念そうにガクリと肩を落とすヘイリ。


わざとらしいんだよ。

その口調も

その態度も。



「用件はなんですか?
はっきり言って下さい」



< 124 / 317 >

この作品をシェア

pagetop