悪魔なキミと愛契約
私が頬を引きつらせると、突然ヘイリの背後に黒いもやが現れた。
ルカが壁から出てきたときと同じく、小さなもやは次第に大きくなり人ひとり分の大きさにまでなった。
その中から出てきたのは、ひとりの悪魔。
背中には黒い大きな羽がついている。
長い黒髪に、白い肌。
もう長い間笑ってないんじゃないかってくらいの無表情。
長身の彼はヘイリの傍に降り立つと、すぐに一礼した。
「ヘイリ様。
勝手に一人で地上へ行かれては困ります」
「そんな固いことを言うではない、セドリック。
私はただ散歩しにきただけだ」
「地上での散歩はおやめ下さい」
セドリック……
ヘイリの、使い人か?
淡々としゃべっていて、言葉のどれにも感情が感じられない……
「そうそう、セドリック。
こちらの女性に挨拶をしろ。
私の誕生パーティーに招待した」