悪魔なキミと愛契約
どのくらい階段を下りていただろう。
終わりが見えてきた。
目の前には大きな扉。
最後の階段を下り終り、私は大きく深呼吸をした。
きっと、この向こうは私の知らない世界だ。
魔界がどんな世界なのかも想像がつかない。
扉の向こうでどんなことが起こっていようと、気をしっかり持つよう、とりあえず心を落ち着かせた。
重い扉に手を当て、ゆっくりと押した。
ギィィィと鈍い音を立てながら開いた扉。
夜だった。
空を見上げると、大きな満月が不気味に赤く光っていた。
私が今いるこの場所は、ビルとビルの間の狭い路地のようだ。
一歩足を進める。
すると――。
バタンっ!!
大きな音を立てて、後ろの扉が閉まった。
その音に驚いた私は勢いよく振り向いた。
「………ッ!!」
扉がない!!
確かに私は階段を下りて扉から出てきたのに、その扉がなくなっていた。
私の後ろには路地が続いてるだけ。
もう、戻れないってことか……