悪魔なキミと愛契約
私は恐怖を取り除くように歯を食いしばり、拳を固く握った。
クソっ!!
ヘイリの野郎、見つけ次第ボッコボコにしてやる。
今どこにいるのか分からない私は、とりあえず大通りに出ようと路地を進んだ。
遠くから人の声が聞こえるから、道を聞いてヘイリのもとへ急ごう。
私は歩く速度を速めた。
そして、狭い路地から大通りへ出る。
「……うわ」
その瞬間、グっと目が丸まった。
あんぐり口を開け、首が痛くなるほど上を見上げた。
英国風の建物が並び、空気は霧がかかりなんだか少し淀んでいた。
街灯も少なく、薄暗い。
私が上を見上げたのは、行き交う人々がみんな空を飛んでいたからだ。
“人”っつーか、“悪魔”か……
みんな同じように背中に黒い羽をはやしている。
道路を走っているのは馬車。
といっても、普通の馬車ではない。
どの馬も、真っ白な骨だった。
気味が悪いな……
魔界って、こんな場所なんだ……