悪魔なキミと愛契約
カチッ――…。
ヘイリ様が消えた瞬間、スイッチが入った。
ルカと向き合う。
ルカは私を見ているだけで、攻めてくる気配はなかった。
「なんでかかって来ないんだ?」
「………」
「命乞いでもしたらどうだ」
私の声だけが、石造りの壁に反射して響いた。
腹が立つ。
そんな余裕な顔してられるのも、今のうちだけだ。
「ルカ!!!!
覚悟しろっ!!!!」
ルカ目掛け突進。
武器も何も持っていない私は、勢いよくルカに殴り掛かった。
「……ッ」
それをあっさり交わされ、空振り。
それでも、何度も何度も殴り掛かった。
当たれっ。
当たれっ。
当たれっ!!!!
「何度やっても無駄だ」
「――っ!!!!」
振りかざした拳を、ルカは顔の前で掴んだ。
目一杯力を入れている私の右手が、フルフルと震える。
「離せっ!!!!」
「………」
「離せっ!!!!」
「………」
「離せっ、この野郎っ!!!!」