悪魔なキミと愛契約
「サラさん」
フランさんは、ルカの肩から手を離し、私の方を向いた。
何だか緊張して、背筋を伸ばす。
「ルカの為に、この世界にやってきてくれて本当にありがとう」
フランさんが深く頭を下げた。
「フランさんっ!!
顔を上げて下さい!! 私はただ、私が思うように行動していただけです。
私はルカの心の教育係としてここに来たけど、正直、教育なんてすごいことは何一つできませんでした。
ただ、ルカを私のわがままで振りまわしていただけです」
大魔王様に頭を下げられ焦りながら言葉を並べると
フランさんは、不意にフっと声をもらし笑った。
「あなたは、とてもチヅルに似ている」
「え?」
「自分の存在の大きさに気づいていないところも、その、焦った時の口調も」
「………」
「それがどれだけ、悪魔心をくすぐるか」
「なっ!?」
最後に思いがけない言葉が出てきて、私は不覚にも赤面。
意味のわからない声を出し、口をパクパクと動かした。
でも……。
「私、チヅルさんにも同じようなことを言われました」
赤面する顔を隠しながら言うと、フランさんの目が瞬く間に丸まった。
「今……何と?」
ああ、そうか。
フランさんは知らないんだ。
私が、チヅルさんに会ったこと。