悪魔なキミと愛契約


しばらく、お互いの目を見合う。


2人でフっと笑い

私はコクンと頷いた。



その時だった。






「サラ様」


私達の背後で、シキの声がした。


ここでシキに会えたことが嬉しくて、私はシキに駆け寄った。


「シキっ!!!!
見てよっ!! やっと解決したぞ!!
ルカとヘイリ、仲直りしたぞ!!」


この兄弟のことで一番苦労したのは、きっとシキだと思う。


だから、早くシキを安心させ、楽にしてあげたくて。


シキの表情がパァっと晴れることを期待して報告したのに。



「サラ様。
もう、お時間でございます」


シキの口から出てきた言葉は、全く予想していないものだった。


表情だって切なげで。


シキ……

時間って……

なに……?


「……シキ、何言って――」


「サラ様は、もうご自分の任務は果たされました」


「………」


「人間界へ、戻る時がきたのです」


「………」


あぁ……

そうか……


そうだったよな……


私は、ルカの心を開く為にここに来たんだよな。


この国の者ではないんだ。


そういえば。

最初でシキと約束したんだったな。


ルカが人間に心を開いたら、すぐに人間界に帰してと。



「……そっか。
時間…か……」




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