悪魔なキミと愛契約
私は、布団ごとルカの体を蹴り上げた。
しかし、身の軽いルカは私の蹴りをヒョイとかわし、じゅうたんの上に着地した。
「貴様、寝顔までブスとは泣けてくるな」
「な、なんだと!?」
ルカは乱れたジャケットを整え、またジリジリとベッドへ近づいてきた。
「来るなっ!!
寝込みを襲うとか、おまえどんな趣味してんだよっ!!」
私は、布団で身を守りながら叫んだ。
「何度も同じことを言わせるな。
俺がいないからと気を抜いて眠っているのが悪い」
「はぁっ!?」
「首筋、あまりにも無防備すぎるではないか」
私は、グイっと布団を引いて首を隠した。
ルカがベッドに乗ると、ギシリと鈍い音を立てた。
「貴様、とっとと人間界へ帰れ。
貴様は邪魔だ」
ルカの手が、布団に伸びてくる。
さ、触るなっ!!
意地でも、血なんて吸われないぞ。
さっさとおまえの心を鍛え直して、全てすっきり終わらせてから帰るんだから。
ギロリ。 と、ルカを睨んだ。
その時――…
ルカの右頬に、切り傷が見えた。
「おまえ、どうしたんだ?
その傷」