悪魔なキミと愛契約
「昔は、王族以外の悪魔は人間界へ行くことを禁止されていたの。
人間界へは視察のために来ていたようなものだからね」
「………」
「でも、今はフランが必死になって人間の良さを伝えているから、若者達は人間界に興味津々。
まぁ、それを批判している人もいるけどね」
チヅルさんの為に
頑張ってるんだ。
「魔界の掟はシキから聞いたかしら?」
「……はい」
人間と、恋をしてはならない――…
「私の一目惚れだったの」
チヅルさんは、また頬を染めた。
「なんて美しい人なんだろうって。
食堂でしか会うことができなかったけど、その時間がとても幸せでね。
最初は陰から見ているだけで満足だったんだけど、気持ちがどんどん膨らんでいって声をかけてみたの」
「すごいっ!!
積極的!!」
「本当、あの頃は若かったわ」
チヅルさんは肩をすくめて笑った。
「それからすぐに付き合ったんですか?」
私が目を輝かせて聞くと、チヅルさんは首を横に振った。
「あの人、美しかったのは見た目だけだったのよ」
「え?」
「ルカを見ていたら何となく想像がつくと思うわ。
今のあの子と、全く一緒だったから。
いつも『ブス』だとか『俺に近づくな』だとか散々言われたわ」
さ、さすが親子。
ルカのあの性格は父親譲りか。