悪魔なキミと愛契約
「でも、私の押しが勝ったのよ」
チヅルさんは、パチンとウインクをした。
「次第に心を開いてくれてね、そこでカミングアウトされたの」
「え?」
「“俺は実は悪魔なんだ”って」
「………」
「最初は、私を遠ざける為にわざと変な冗談を言っているんだと思ったの。
そこまでして私と付き合いたくないのかなってね。
でも、それは本当のことで、詳しく魔界の事を教えてくれたわ」
そりゃ、驚くよ。
いきなり“悪魔だ”なんて言われたら。
私だってここでシキに説明された時、意味不明だったもん。
「フランは、魔界の掟の事を一番気にしてた。
“人間とは絶対に恋をしてはならない”って。
ましてや、魔界の王子でしょ?これから魔界を治めなきゃならない人が人間と恋をするなんて。
それは決してあってはならない事だから」
でも――。
と、チヅルさんは言葉を続けた。
「フランはその掟を破ってまで、私を愛してくれたの」