悪魔なキミと愛契約
「サラ様、準備が整いました」
「ありがとう、シキ」
厨房に立った私は、早速腕まくりをした。
「サラ様、そのようなことはメイドにお任せ下さい」
米を洗い出した私を見て、シキは慌てていた。
「さっきも言ったでしょ?
私が作ってあげたいの。
それに私、家では普通に料理してたんだから」
「ですが……」
「シキ。
私は庶民なの」
「………」
「シキはルカに気を遣ってクタクタでしょ?
私には普通に接してくれていいんだよ」
「そう言われましても」
シキは困ったように眉を寄せた。
「庶民のお母さんの味。
ルカも、一度は食べたことがあると思うの」
「サラ様のお母上も、よく作ってくれたのですか?」
「うん。
私、大好きだったんだ。今でももちろん大好きだよ」