悪魔なキミと愛契約
「ドア、壊れてしまいましたね」
シキは静かにそう言うと、突然両手をドアへ向けた。
ブツブツ何かを呟き、一瞬両腕に力を入れた。
すると、木っ端微塵になっていたドアの破片が瞬く間に元に戻った。
Wow!!!!
シキすげーーっ!!
私が目を丸めて見ていると、シキは何事もなかったかのように『昼食の用意をいたしますね』と微笑んだ。
「………」
まだまだ聞きたいことはいっぱいあったけれど。
何も語らずに部屋から出て行くシキの背中を見ていたら、とてもじゃないけど聞けなかった。
シキ……
本当は、相当心配してるんだろうな。
それを表に出さず、ああやって平静を保つなんて……
きっと、私にはできないだろう。
シキ――…
あんたはすごい執事だよ。