ダルターニの長い一日
「げ~っ、エルミラーラ!」



(何故かエルには、僕のいる場所がすぐに分かってしまう)



小さな漆黒の髪の少女がハーリーを目がけ走ってくる。



グレーの新しいドレスを着ている。いつもの事だ。新しい洋服を着ると、いつもハーリーに見せる為に、城中を捜して駆けずり回る癖がある。



(あんな長い衣装を引きずって走っていたら・・・・・あ~あ、ほらみろ!)



ハーリーは、思わず両手で顔を覆った。


エルミラーラは、自分のドレスの裾につまづいて、一瞬にして地面に挨拶をし、草だらけになってしまった。



(なっ、なんて派手に転がってくれるんだ、こいつは!)




泣くか? 泣くか? と、転んでしまったエルミラーラを助けにも行かず、ハーリーは、その場で様子をう伺っていた。ところがエルミラーラはすぐに顔を上げ、ニッと、無邪気な笑顔を見せた。



(あんなに派手に転んだのに、こいつ、強い!僕が四つの頃は、すぐに泣いて、シュレイツに手を指し出してもらうまで起き上がらなかったのに・・・・・)



エルミラーラはすぐに起き上がると、何事もなかった様に再び走り出し、ハーリーの側に来て、ドレスの裾を持ち上げて、ちょっとしたポーズをとった。
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