ダルターニの長い一日
「かくれんぼ?」

「エルが此処で目を閉じて、十数えるんだ。その間に僕はお城のどこかに隠れるから。もし、エルミがディナーの時間までに僕を見つけたら・・・・・そうだな、ピアノ!新しく覚えた曲を弾いてやるよ」



我ながらいい考えだ!と、ハーリーは思った。思惑通りエルミラーラは大喜びしている。



「わ~い、かくれんぼ」

「さあ、目を瞑って・・・・・」



エルミラーラは、ハーリーに言われるまま、瞳を閉じる。



「ひと~ちゅ、ふた~ちゅ・・・・・み~っちゅ・・・・・えっとぉ、その次は・・・・・・む~っちゅ、や~っちゅ、それから、いちゅ~ちゅ・・・・・ここのちゅ、と~!あれぇ、指がふたちゅ余っちゃった。でも、いいよね、お兄たまはどこかな?」



灯台もと暗し、ハーリーは、エルミラーラがハーリーを捜しにこの場を去ったのを影から見届けると、また、此処でもう一休みする事にした。
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