紅月 -AKATSUKI-
Ⅹ【流され少年の末路】
僕に“自分の居場所”なんてあるのだろうか。
用意されているのだろうか。
家にいたら、手伝うこともせずグータラと過ごしていて。
でも、それは母さんにとったらとても悲しいことで。
……や、とっくの昔に呆れられているのかもしれないけれど。
それが僕にとってはものすごく居心地が悪い。
友達は……何人かいる、一応。
けれど、僕なんかほったらかしで、僕以外の友達同士で話していることが多い。
たまに話しかけてきたかと思うと、同意を求めるものだったり助けを求めるものだったり。
僕は友達に話を合わせるだけの都合のいい人間じゃないです。
オモチャじゃないです。
僕抜きで話せる話題なら、僕のいない違うところで話せばいいのに。っていうかそうして下さい。見ていて悲しいので。
……と、話が脱線した。
とにかく、家も友達の隣も僕の居場所じゃない。
「死ぬなら外で死んでくれ」
母さんにそう言われちゃったんだもの。母さんに見捨てられたんだなぁ…と、密かにベッドの上で泣いてみたり。
心配はかけたくないから、決して泣き声は出さないけれど。
他の場所も……うん、ないな。
と言うわけで、ないんだ。
僕の居場所なんか。
だれにも必要とされていないから、僕が生きていても邪魔なだけだから、こんな僕なんて死んだ方がマシだと思うんだ。
僕自身、みんなが死を望むなら死んでもいいかなって思っているし。僕自身、生きていてもいいことがないのは分かっているし。
みんなの邪魔になるくらいなら、僕みたいな人間……もう、人間とも呼んでもらえないかもしれないクズは、消えた方がいいんだ。
でもね、わがままだけれどね、僕自身、死ぬのが怖いんだ。
死にたいけれど死ねないんだ。
わかる?この僕の気持ちが。
つらいんだ。
でもだれにもつらいとは言えないんだ。ただでさえグータラだからね、それ以上迷惑をかけたくないから……だから、言えないんだ。
この先、僕はどうなってしまうのだろう?
1年後の今頃、僕はどうしているんだろう。
……分からないよね。
だって君は、いくら僕の内面を知り尽くしていたとしても、結局は他人なのだから。