紅月 -AKATSUKI-
Ⅸ【創造者】
世界を創ったのが神なら。
神を創ったのは何なんだろう?
神を創ったのが宇宙なら。
宇宙を創ったのは何なんだろう?
宇宙を創ったのが始まりなら。
何が始まりを創り、始まりはなんのために宇宙を創ったのだろう?
始まりが宇宙を創り、宇宙が神を創り、神が世界と人間を創ったのなら。
どうして神は数多くある生き物の中から“人間”を選び、“人間”を創ったのだろう。
神は人間をなんだと思い、神は何を望んで人間を創ったのだろう。
今の人間たちを見てどう思い、何を感じているのだろう。
そんなこと、考えたってわからない。
僕は人間の1人にすぎないし、それに、答えなど初めから用意されていないのだから。
だがこれは言える。
“神”という言葉は人間が考えて、人間が創ったものなのだ。
人間がいなければ“神”という生き物は初めから実在しない。
昔に“神”と呼べるに相応しい人間がいたのか、ご先祖様が本物の神を見たのかはわからない。
けれど、確かに“神”は実在するのだ。