青に錆びる陽炎を。
第0章
ポツ、ポツ、と水の音が聞こえる。
一定を保つその音は、一寸の狂いもない。
ポツ、
ポツ、
ポツ、
それは、まるで。
――時を刻んでいる。
世界が、世界を、在るべきままに。
(……ここは、どこなのか…)
暗く沈む空間。
自分の手先すら見えない。
記憶は、何を語る?
(私は、)
誰だったのか。
時は無情にも過ぎる。
ポツ、
ポツ、
ポツ、
ポツ、
――ポツン
世界は、
いずこに?