BEST FRIEND


冬馬に送ってもらって自宅まで戻ると、家の門の前で人影がうずくまっていた。暗くて最初は分からなかったけど、それは夏海だった。
「夏海…」
ハルの声が聞こえたのか、夏海は顔を上げ立ち上がった。
「ハル…」
夏海は何だかとても疲れた様子で、いつもと少し違って見えた。そして夏海が何か言おうとした瞬間、冬馬が夏海の顔を思いっきり殴った。
「冬馬!?」
殴られた夏海はその場に倒れたが、冬馬は夏海の上に馬乗りになり胸ぐらを掴む。
「このクソ野郎…何回ハルを泣かせたら気が済むんだ…。何とか言えよ!」
冬馬も夏海が来れなかった理由を知らないのか、冬馬は胸ぐらを掴んだまま声を上げる。
「冬馬、もう止めて!」
ハルは必死に冬馬を抑え何とか止めようとした。だが冬馬を止めたのはハルではなく、夏海のか細い声だった。
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