BEST FRIEND
「お父さんもお母さんも今日は泊まっていいって言ってたから」
「ごめん…」
「もういいよ。それより、何かあったの?」
ハルはベッドに腰掛けながら聞いた。明らかに夏海はいつもと違うし、何だか憔悴してるようにも見える。
いつも冷静で何かあっても毅然とした態度を見せている夏海がこんなになるなんて、何かあったに違いない。
だが夏海はドアの前で立ち尽くしたまま答えようとしなかった。じっと床を見つめ、表情を固くする。
「あ、何か飲み物持って来るね」
とりあえず落ち着かせたほうがいいと思いハルが立ち上がった時、ふいに夏海が言葉を吐き出した。消えそうな、枯れた小さな声で。
「…死んだ」
「え?」
夏海の言葉が理解出来ず聞き返すと、今度はハッキリと言った。ハルにとって聞きたくない事を…。
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