BEST FRIEND
「あーごめん。ちょっと家族と旅行に行ってたんだ」
「本当?」
「ホント」
夏海は笑ってるけど、ハルはそれが嘘だと思った。
夏海が休んでた理由はクラスでは親戚の葬式で休んだとなっている。冬馬もそれを信じており、あの日の事は何も言ってない。言えばきっと夏海に殴りかかるから。
旅行に行ってた事は誰も知らないけど、夏海が何も言わず旅行に行くなんて今までない。
「ホント悪かった。お詫びに美味しいお菓子持って来たから、みんなで食べよう」
「やったー!」
両手を上げて喜ぶ冬馬に笑顔の夏海。いつもと変わらない光景なのに、なぜかハルは寂しく感じた。
夏海を取り巻く空気が心地よくない。
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