BEST FRIEND
「うん。知ってる」
平然と答えたハルに夏海は目を見開いた。
「気付いてたのか…?」
「当たり前じゃん」
夏海は必死に冷静を保とうとしてたけど、いつもと違う事ぐらいハルには分かる。夏海と連絡が取れなくなる前の夏海もおかしかったし。
「親友の嘘ぐらい分かるよ」
「そっか…」
そう呟いて夏海はちょっと嬉しそうに笑った。
「ずっと恵の事が諦められなかったんだ…。もうどう足掻いてもどうする事も出来ないって分かってるのに、私は恵の為に何もしてやれなくて、恵の為に何かしてやりたいってずっと思ってた。でも何をすればいいのか分からなくて、とりあえず恵との思い出の場所を巡ってみる事にしたんだ」
「見付かった?」
「とりあえずはね」
「そっか。良かったね」
夏海の笑顔は夏の空のように全ての不安が取り除かれたみたいに綺麗だった。
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