BEST FRIEND

ハルが私の事を想ってくれていたなんて知らなかった。
ハルは明るくて優しくていい子だが、私には恵がいる。
「ちゃんと断ったから安心していいよ」
ハルの事は大好きだし、もし恵と付き合ってなかったらハルの告白を受け入れたと思う。
でもハルには申し訳ないが、私は中学の頃から変わらず恵だけを愛している。
恵が目を覚ましたら色んな場所に連れてって、私の通う高校も見せよう。そして色んな話をして、これからはずっと一緒にいようとまた誓おう。
そろそろ帰る時間になり、夏海は立ち上がって恵にキスした。
「また明日来るからね」
おとぎ話なら王子がキスすれば姫は目覚めるが、現実の世界はそう簡単にいかない。
「姫と姫じゃやっぱダメなんだな」
自分でもバカだな、と思いながら病室を出ようと扉に手をかけた時、廊下から扉が開かれた。