BEST FRIEND
恵の手にいつもの温もりは無く、氷のように冷えきって冷たかった。
そして震えながら恵に顔を近付けると、恵からは微かな吐息さえ聞こえない。
「恵…恵!」
静かな病室に夏海の悲鳴が響く。
何で、何で恵がこんな事になるんだよ。
毎晩祈ってたんだ。明日は恵が目を開けて、楽しく話しが出来ますようにって。
さっきまでいつもと変わらず呼吸もしてたじゃないか。なのに何でこんな急に死んじゃうんだよ。
私はずっと待ってたんだぞ!
「何で…何で置いて行くんだよ…」
全身から力が抜け、夏海は恵の手を握ったままその場に座り込んだ。
私の体温はどんどん上がってるのに、恵からは何も伝わって来なかった。握った手だけが冷たい。
< 271 / 273 >

この作品をシェア

pagetop