BEST FRIEND
人もまだそんなにいなくてすぐに乗れた。
「観覧車乗るの久しぶりー。あ、冬馬が見える!おーい」
「気付くわけねーだろ」
テンションの高いハルとは違い夏海は低い。もしかして乗りたくなかった?ちょっと心配になったハルは、
「夏海は観覧車嫌い?」
「嫌いじゃないけど…遊園地に来たからには色々乗りたいじゃん。こんなゆっくり動くものに乗ってたら時間がもったいない」
「いいじゃん。こうやってゆっくり景色見るのも。それに空に近くなるよ」
「生きてる人間が空に近付くって、良くないんじゃない?」
確かに。何か人生終わりみたいだ。でもそんな事でハルはめげない。
「いいの!何でも楽しまなきゃ損だよ!」
「へいへい」
気のない返事をする夏海の頬に赤い光が当たった。
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