BEST FRIEND
お弁当を片付けるハルに、夏海は空を見上げた。
「したと言えばしたし、まだと言えばまだかな」
「どういう事?」
「あれは、本当のキスだったかどうか分からないって事」
「夏海は本気じゃなかったの?」
「本気だったよ。でも、相手はどうだろうな…」
「……」
空を見上げる夏海の目はどこか寂しそうで、ハルの胸が締め付けられた。
もしかしたら、夏海はまだその人の事好きなのかな。だとしたら私の想いなんて夏海に届かない。
相手の人の事を聞こうと思ったが止めた。そんな事聞いたって傷付くだけだし、夏海も思い出したくないと思う。
そのまま二人は黙り込み、そして静かな屋上に場違いな声が響く。
「あー疲れたー!」
大声を上げて来たのは冬馬だった。空から冬馬に視線を移し夏海が口を開く。
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