隣の兄ちゃん




「じゃあ…お願いします……」



少し控えめに言ったあたしに、夜沢さんは



「おー。じゃあ乗って!遅刻するよ?」





そしてあたしは、夜沢さんの車に乗って学校へ登校した。



車の中は柑橘系の爽やかないい匂いがして、なんか気持ちがよかった。





「ここら辺でいい?」



ボーっとしていたあたしは、びっくりしたけど「はい、大丈夫です」と冷静に答えた。






「いってらっしゃい!」




満面の笑みで言われた。






“いってらっしゃい”





いつぶりに言わたんだろう…。



あたしはなんだかすごく、温かい気持ちになった。





まるで凍った心を溶かしてくれるような――・・・




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