Someday never comes...
夕方5時の、いつもの小さな公園。
一定のリズムでバスケットボールをつく音が心地いい夕暮れ。
「なっちゃん。何があったの?」
なっちゃん。
夏乃という名前からとって、彼はいつもそうやって私を呼ぶ。
「ひーくん」
だから私は秀俊からとって、ひーくんと呼んでいる。
「何ー」
「フラれちゃった」
私はブランコに乗って、めいいっぱい漕ぎながらひーくんに届く最小限の声で言った。
久しぶりにちゃんと漕いだブランコは身体が少し大きくなったせいかなんなのか、昔より高く上がる気がする。
昔はあんなに毎日乗ってたのに、もうずっと、ただ乗るだけで漕いだことはなかった。