Someday never comes...
「ひーくん」
ぶらんこに乗ったわたしはひーくんの後ろ姿に声をかけた。
今日は、ブランコはこがないことにした。
まだ決まったわけじゃないし。
辛いことではない。
「なにー?」
「凛ちゃんがね、お母さんとお父さんのところに行っちゃうかもしれないの」
「凛ちゃん?」
誰?その子、とボールを扱う手を止めてひーくんは首をかしげてわたしを見る。
「施設の女の子。7歳なの」
「ふーん。よかったね」
「うん」
「寂しいんだ?」
…結局は、そうだ。
わたしが寂しい。施設の子が誰かにもらわれてくのは前にも何度かあったけど、その度に寂しかった。
その子がいなくなることにも、自分の境遇にも。
『いつか、迎えに来る』
そのいつかをわたしはずっと待っているのに、と。