運 命
森さんの提案
<準嗣SIDE>
北海道に到着した翌日の土曜日,遅めの昼食を終えて智浩さんと雑談をしていた俺は―正しく言うなら,一方的に映画に関するうんちくを聞かされていたのだが―森さんが,出かける支度をしているのに気がついた。
「森さん,どっか行くんすか?」
軽い調子で尋ねると,鏡の前でベレー帽の角度を調節しているらしい森さんが俺を振り返ってにっこりとした。
「3時からレッスンあるんだ。トモと準嗣も一緒に来る?」
「え!?いーの!?」
俺が答えるより先に,智浩さんが興奮した様子で身を乗り出した。
「ああ。まあ俺がレッスンやってるときは控え室にいてもらうけどさ。3時半にレッスン終わって,そのまま"愛を深める会"の会場に行けばいいし。」
「名案!」
と智浩さん。
「準嗣もそれでOK?」
森さんが爽やかに俺に問いかけた。
もちろん…異論はない。が…。
「"愛を深める会"って,今日なんすか?」
俺が尋ねると,森さんも智浩さんも朗らかな…まるで少年のような笑顔を見せた。
「あれ,言ってなかった?」
「悪い,慎ちゃん!俺がたぶん言い忘れてたわ!」
―ったく…。
北海道に到着した翌日の土曜日,遅めの昼食を終えて智浩さんと雑談をしていた俺は―正しく言うなら,一方的に映画に関するうんちくを聞かされていたのだが―森さんが,出かける支度をしているのに気がついた。
「森さん,どっか行くんすか?」
軽い調子で尋ねると,鏡の前でベレー帽の角度を調節しているらしい森さんが俺を振り返ってにっこりとした。
「3時からレッスンあるんだ。トモと準嗣も一緒に来る?」
「え!?いーの!?」
俺が答えるより先に,智浩さんが興奮した様子で身を乗り出した。
「ああ。まあ俺がレッスンやってるときは控え室にいてもらうけどさ。3時半にレッスン終わって,そのまま"愛を深める会"の会場に行けばいいし。」
「名案!」
と智浩さん。
「準嗣もそれでOK?」
森さんが爽やかに俺に問いかけた。
もちろん…異論はない。が…。
「"愛を深める会"って,今日なんすか?」
俺が尋ねると,森さんも智浩さんも朗らかな…まるで少年のような笑顔を見せた。
「あれ,言ってなかった?」
「悪い,慎ちゃん!俺がたぶん言い忘れてたわ!」
―ったく…。