タイトル未定
低い声
「……怒ってはいない、小織にはな」
ふいに降ってきた低い声に、ハッと顔をあげた。
そこにはソファーに座って真っ直ぐ私を見ている黒い瞳。
お兄ちゃんが隣で、ははっと笑った。
「俺は疾風だ、そう呼べ…こっちへこい…小織」
そう言われたものの、床と足の裏が引っ付いたかのように動けない。
『っわ』
トンっと背中を押されて後ろを振り向くと、ニヤニヤしている海翔にぃちゃんがいた。
「あれでもあいつ、さおを連れてこいってうるせぇくらい、さおを待ってたんだぞ」
ニヤニヤの海翔にぃちゃんの言葉に、黙れってゆう言葉が聞こえた。