タイトル未定
その優しげな表情に、私は自己嫌悪に陥っていた。
一瞬、ほんの一瞬だけ、あの光景と重なって見えた。
こんな優しい手にあれと重ねてしまうなんて……
お兄ちゃんと私しか知らないその事に、まるで全て知っていて私と会いたがっていたのような言葉を疾風さんは言いはなった。
「守りたい気持ちは分かるは分かるが、それは大史のエゴであって小織にはよくねぇんじゃねぇの」
ジワリと嫌な汗が手のひらに浮かび、バクバクする心拍音を感じながら、見開いた目で真顔で沈黙するお兄ちゃんを見た。