タイトル未定
建物の隅にある小さな扉を開けると、そこは八畳間ほどの空間でそこには十人くらいの厳つい人が一斉にこっちを見ていた。
『ヒッ』
何人かと目が合った私はビクンと肩を跳ねあげて、お兄ちゃんの背中に隠れた。
「ヒッって(笑)」
一人が私の悲鳴に笑いこぼした事で、それが伝線して部屋中のみんなが笑いだした。
けれど、その笑いは外に漏れていた下品な笑いじゃなくて暖かみのある笑い。
その暖かみに興味をもった私は、そーっと、ホントにそーっとお兄ちゃんの背中から顔を出した。
「おい、大史、いつまでさお隠してるつもりだ!!さお!!俺だ!おいで!」
大史はお兄ちゃんの名前で、小さい頃よく呼ばれた私の愛称、さお。
その私を呼ぶ声にハッと思い出して、体全体をお兄ちゃんから出した。
目の前には胡座をかいて数人の人に囲まれてる…金髪の………海翔にぃちゃん。
唯一、お兄ちゃん以外で私が安心できたお兄ちゃんの友達。
「さお!デッカクなったな!おいで?」
海翔にぃちゃんが私に笑うから周りはポカンと口を開けていて、おかげで恐怖心がなくなった私は笑顔で海翔にぃちゃん目掛けて飛び付いた。
お兄ちゃんは、私に飛び付かれ転んだ海翔にぃちゃんを笑っていた。