山田さん的非日常生活
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車を降りるなり、青々とした広場が視界を占めた。

あちらこちらで少年少女の声が飛び交う。

レインボー色のシート上では、微笑ましく弁当をつつきあう家族連れが見て取れた。


「山田さーん!こっち!ここにしましょう!」


一人はしゃいで走っていっては、木の下にシートを広げて陣取るカボ。

外見からは想像もできない無邪気さだ。

仕方ないから小走りで向かってやると、カボはベストポジションです、と嬉しそうに笑って腰を下ろした。


太陽は真上を過ぎたところ。


「来たばっかですけど、お昼にしましょうか」


取り出された三角のおにぎりを2つ受け取って、カボの隣に同じように腰を下ろす。

耳元を吹き抜ける風が気持ちいい。

おにぎりのビニールを剥きながら、軽く目を細めた。


「僕、コンビニの三角のおにぎりって好きです」

鮭おにぎりを目一杯に頬張りながら、瞳を緩めるカボ。


「食べやすいし、ノリがパリってしてるのが、なんとも」


そう言って三角のてっぺんがなくなったおにぎりにまたかじりつく。

金髪長身、一見ガラの悪そうにも見える彼がこうして無邪気におにぎりを頬張る姿は、なんだか不釣り合いすぎて笑えた。


「…そーだね、あたしも好きかも」


広がる光景を前にして、ピクニックなんて、ちょっと馬鹿にしてしまったけれど…結構いいもんだなと思った。

あたしの答えに、カボは顔からはみ出るくらいの笑みを浮かべる。


パリっ、という渇いた音が、あたしとカボの口元で同時に起きた。


「でも、」


視界の端を飛んでいく、ピンクのフリスビー。


「山田さんの手作りだったら、もっとよかったのに」


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