山田さん的非日常生活
結局、「ごめんなさい」と律儀にも駄目になったおにぎりに謝った少年。
その彼とカボはなぜか意気投合し、目の前ではその少年の仲間たちにカボを加えたサッカー大会が始まっていた。
…きっと精神年齢が相応なんだ。
「…てゆーかあたしは放置かよ」
ああ、思わず独りごちてしまったではないか。
ムカつくから、カボが楽しみにしていたデザートのプリンを吸い込む勢いで独り占めしてやった。
ざまーみろ。
「ボールこっちー!!」
絵に描くような赤を微塵も想像させず、太陽は黄金の光を容赦なく叩きつけてくる。
その度に彼の金髪は、応えるように輝いていた。
甘ったるい口の中。
眩しい笑顔。
ムキになってボールを追いかける姿に…ふと笑みが漏れる。
その時ちょうど、汗を拭いながらカボがこちらに顔を向けた。
ぶんぶんと向こうで大げさに手を振り、満面の笑顔を見せる。
「山田さんも入りませんか〜!!」
たまには若くなってみるのも、悪くないかな。カボを見ているとなんだかそう思えて。
重たい腰を上げて、輪の中へと走っていった。
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