山田さん的非日常生活
頭にハテナを浮かべるあたしに、足立ははぁっとまた息を吐き出しつくしました、みたいなため息を吐いた。


「…旅行でしょ?醜い下っ腹を彼氏にさらす気かお前は」

「…?…別に旅行だからって腹踊りとかはしないから大丈夫だよ?」

「〜だれも腹踊りの話しとらんわボケェっ!!」


バンっ!とまたもやたたかれて、あたしの机が悲鳴を上げた。

あたしの心の友、足立は怒るとものすごく怖い。

なにせ足立の母親はここらへんの地域一帯を締め上げていたレディースの総長だったらしい。足立にその遺伝子はもれなく受け継がれている。


茶色く染められた髪の先をくるくると弄びながら、足立は再びあたしに顔を近づけた。


「…経験豊富な足立サマが、今日買い物つきあってあげよっか」

「…買い物?」

「だって彼氏との初旅行でしょ?」


アイラインがくっきり引かれた大きな瞳が、あたしの目の前に迫る。

後ずさったら、ガタンと傾いた椅子から落ちかけた。


「勝負下着、買っとかなきゃ!!」



しょ…うぶ……



「下着ぃ〜!!??」


後ろにつんのめって、バランスを崩してそのまま床にしりもちをついてしまった。

クラス中の注目があたしに集まる。


「大丈夫!?山田!!」


そばにいた多喜川くんが、あたしを助け起こしてくれた。


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