山田さん的非日常生活


「……えっ」

「あげます」


目を丸くするカボ。

あまりにも真ん丸く見開いて、ポタリと落ちてしまいそうなほどに。


「僕に…くれるんですか、山田さん」

「ええ、どーぞお持ち帰り下さい!!」


ぶっきらぼうに言い放たれたあたしの台詞とは反対に、カボはまるで顔面に春が来た、みたいな表情をして押しつけられた箱を見つめた。



「…ありがとう、山田さん!」




おさがりみたいなものなのに、あまりにも彼が嬉しそうな顔をするから何だか後ろめたい気分に駆られる。


見送る金髪頭。

棚に残るは、かぼちゃプリン一個とミルクプリン2個。


その日の彼の後ろ姿は、今にもスキップしそうなほどにフワフワしていて。


ぶら下げられた小さなナイロン袋には、神様のお取り置きらしいココアプリンと…どう考えても収まりきれていないピンクの箱が、ぎゅうと詰め込まれて苦しそうだった。


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