『想いのカタチ』 (短編小説)

渋々ながら電話に出る。武田と佐野は既にコテージに戻っているらしい。ちゃっかり夕食のお願いをして、奈々沢は電話を切った。

その夜、4人は早めに眠りに付いた。しかし、同じ夢に目が覚め また外へと向かった。海から吹く風が気持ちがいい。ケータイを開くと深夜1時を過ぎていた。大きな溜め息を肩でつく。

佐野:「また出てたの?」

案の定、姿を見せたのは佐野だった。

佐野:「風、気持ちイイね」
一ノ瀬:「ねぇ、聞いてもイイ?」
佐野:「何?」
一ノ瀬:「…何で私なの?」
佐野:「何それ(笑)…理由なんか無いよ…。そのままの蒼がどうしても好きなだけで(笑)」
一ノ瀬:「…(ゆっくりと頷く)」
佐野:「ダメ(笑)?」
一ノ瀬:「そうじゃないんだけど…ゴメン」
佐野:「謝るなよ…謝らないでくれ…。蒼、俺…」
一ノ瀬:「ゴメン…やっぱり私…答えられない…(泣)」
佐野:「泣かないでよ…俺は…」

抱きしめてくる腕を必死でほどく。しかし、佐野は離そうとはしない。

一ノ瀬:「お願い!離して!!」




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