『想いのカタチ』 (短編小説)
力一杯に佐野の腕を振りほどいた。頬を伝う涙が生暖かい岩の上に ポタポタと跡を残す。
一ノ瀬:「…(泣)」
佐野:「…あっ…」
振り返ると、奈々沢と武田の姿があった。しかめっ面で蒼達を見詰めている。
奈々沢:「どういう事だよ」
佐野:「…」
武田:「取り敢えず、部屋に戻ろうぜ…」
武田に促され、4人は部屋に戻った。蒼が涙を拭いながらベッドに座ると、奈々沢は佐野を睨み付けていた。
武田:「…なぁ、何があったんだよ…」
佐野:「俺さ、夏休み前に…蒼に告ったんだ」
武田:「え!?」
佐野:「ガキの頃からずっと好きでさ…。返事は待ってるつもりだったんだけど、昨日フラれて(笑)でも…諦められなかった…」
一ノ瀬:「私が…悪いの(泣)ずっと…曖昧にして…避けたりして…」
それまで黙っていた奈々沢が 床を睨み付けながら口を開いた。