『想いのカタチ』 (短編小説)
ベッドに横になり目を閉じると過去の思いが ゆっくり胸の中に込み上げて来るのを感じた。両想いになったことは無いけれど、“付き合う”と言う所までいくと何故だか怖くなって気持ちが引いてしまうのだった。目を開くと3人が私を見詰めていた。机の前の椅子に座っていた佐野が小さく溜め息を付きながら 蒼に言葉を投げる。
佐野:「そう言えば、蒼って子供の頃『お嫁さんになりたい』ってよく言ってたよね」
一ノ瀬:「よく覚えてるね」
佐野:「もちろんだよ(笑)信は『魔法使い』で、タケは『ヒーロー』だったっけ?(笑)」
奈々沢:「俺そんな事言った??」
武田:「そうそう(笑)しょっちゅう落ちてる木の棒を振り回してたじゃん(笑)」
奈々沢:「そうだっけ?」
佐野:「…蒼は「可愛いお嫁さんにしてね」ってよく言ってたね(笑)」
一ノ瀬:「…ホントに??…そこまで言ってた?」
佐野の言葉に戸惑い、思わず身体を起こした。