Long Road
あまりの偶然への驚きに呆然としていると、
彼は隣の列からすり抜けて隣へやってきた。
「びっくりした・・・。」
思わず呟く。
彼は、そんなわたしを見て、無邪気に屈託なく笑った。
「僕も。こんなに大勢いるのにすごい確率だ。」
本当にすごい確率だわ・・・。
「すごい行列だね。国内線でこれだから、帰りが思いやられる。
たしかニューヨークだっけ?」
「はい。」
「僕もロスで仕事が終わったら行くことになってるから、
また時間が合えば、食事でもどうかな?」
不思議な縁続きで、連絡先を交換し合い、
空港での待ち時間中、始終たわいもない話で楽しみ、
膨大なはずの待ち時間も苦でなくなっていた。
本当に不思議な人。
そう、行きずりの時間を楽しむ相手として、
彼は申し分のない相手だった。