Long Road
「お久しぶりです。
こないだ、映像でですけど、ベルリンでの教授の演奏聞きました。
素敵でした!今回は、だいぶ趣向を変えられていて、驚きましたけど。」
「悪くなかっただろう?
本当は、君も呼びつけようかと思っていたくらいなんだ。」
楽しげに笑う。
そんな教授を見て、わたしも、つられて笑ってしまった。
「教授、わたしと一曲、手合せしていただけますか?」
「もちろん。大歓迎だよ。何にしよう?」
「シューベルトの第2は?」
「・・・良い選曲だ。」
教授は、曲名を聞いただけで、
もう何もかもわかったような表情をした。
そう、何度この曲を彼とデュオしたことか。