Long Road
「・・・」
何も言い返せないまま、恥ずかしくてうつむいた。
「韓国に来たことある?」
「えっ・・・?」
いきなり話題を振られて、顔を上げる。するとそこには、今までのことがなかったかのように涼しい顔をした彼が、微笑んでいた。
そのすっきりした美しい顔立ちに思わず赤面しながらも、答える。
「ううん・・・行ったことない。日本とはだいぶ雰囲気が違うのかな?」
「違うといえば違うし、似てるといえば、似ている。僕からいわせれば、兄弟みたいな国だなあって思うよ。」
「そうなの?」
「うん。近しいからこそ、うまくいかないとこも。君も韓国に来てみればわかるよ。」
「行ってみたいかも・・・。よく考えてみたら、わたし、知らないことがいっぱいあるの。いろんな国に行ってみたいな。」
「韓国なら案内するよ。でも、まずは日本を君に案内してもらいたいな。来月また、日本へ行くんだ。」
「なんだか、転々として忙しそう。俳優業ってそういうものなの?」
「どうかな。ただ、最近はありがたいことに、アジア圏で韓国の映画やドラマの人気が高くなっているから、いろいろと行く機会は増えてるけど。特に日本はよくいくよ。ひと月に一度くらいは行くかな。ちなみに、今度も一か月くらいの滞在予定なんだ。」
「なんだか、聞いているだけで、目が回りそう。でも、いろんな国に行けるのは、ちょっと羨ましいかな。」