Long Road
「あんまり、観光している時間はないけどね。まあ、でも来月の日本滞在は1ヶ月あるから、少しは見て回れそうだけど。いつもみたいに宣伝のための2,3日の滞在なら、どこの国にいてもあまり変わりないな。」
「そんな忙しいあなたに、こんなに何度も会えるってひょっとして、すごい偶然・・?」
思わず、冗談めかして言うと、意外にもゆらめるキャンドルの向こうで、彼は真面目にうなづいただけだった。
次ぎ会うときは、日本で。
1杯目のワイングラスを空けた時、彼が言ったのを、アルコールが程よく回った頭の中で反芻して別れた。