Clear.
「 わかんないよ・・・ 」
グッ、と手に力をこめて
彼を引っ張る。
「 何で何も言ってくれないの?
紗枝って大切なひとなの?
言ってくれなきゃ分からないよ? 」
すぐ目の前にはあの砂浜があるのに
あと数歩進めば、あの大好きな景色が
あたしの心を掴んでくれるのに。
”行きたくない”と、あたしの体が
悲鳴のような声をあげた気がした。
「 麗華。紫やお前と電話した女は
俺を何て呼んでた? 」
「 ・・・・龍 」
振り返った彼の顔は、
すごく真剣で、手の力も強くなった。