Clear.




「 俺は待ってるから。
  お前が話せるようになるまで 」





優しい手つきであたしの頭を撫でて
指先で涙を拭うと、携帯を出して
”紫、呼ぶ”と携帯を耳に当てた。






「 ・・・呼ばないで・・ 」


「 ・・・え? 」


「 呼ばないで・・ください・・・! 」







紫さんには話せない。
違う。紫さん”だから”話せない。







あたしを妹だと言ってくれた
あの優しい人を突き放したくない。






「 ・・・分かった 」





< 64 / 281 >

この作品をシェア

pagetop