桜雪
ーカイsideー


夜11時30分頃


店のほうが何だか騒がしい。


寝起きの髪をある程度整え店の奥から店の様子を覗いてみた。


年齢二十歳でゆきなと名乗った女の子。


どっから見ても未成年であることはあきらかだ。


でも赤くなった目と涙でにじんだマスカラ


どこか遠くを見つめている瞳の奥。


彼女の全部が『わけあり』というものを表していた。


彼女の全てが俺の持っていないものだった。


ここで追い返してしまったら彼女の持っているものが


壊れてしまうようなきがした。


気がついたら俺は店の奥から店内へと足を進めていた。


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