桜雪

「ゆきなちゃん本当はいくつなの？」

聞くのもどうかと思ったけど気になっていた。

「１６歳です。」

うつむいたまま彼女が答える。


その様子が少し愛おしかった。


「名前は本当にゆきなちゃん？」

偽名を名乗っていることは容易にわかった。


『ゆきな』と名乗るとき彼女は少し考えていたからだ。


「...なっ」

うつむいているのと周りの大人たちの声にかき消され聞き取れなかった。


「んっ？」

聞き直すと初めてこっちを向いて答えてくれた。

「ゆなです。」


「そっか‐ゆなちゃんか～かわいいね。」


それが本当にうれしくって本音を言っただけなのに


すごく不思議な目で見られた。