桜雪
「俺も人のこと言えないんだよね。」

これは夜の街の人間には言えないこと。


夜の街でこのての噂が流れるのは


ありえない速度だ。


この街に足を踏み入れ切ってない彼女だから言えること。


「何でですか?」

またどこか遠くを見つめていそうな彼女の目は

俺の方へと向けられた。


俺はその瞳が苦手だけど好きだった。



「俺19でまだ未成年だから。」


「そ‐なんですか?」

もっと驚くかと思ったけどそうでもなかった。

感じてたのか。俺がまだ『子供』だということを。



「うん。でも22で通してる。」


「そーなんだ。」

そういうと彼女は少し笑ったように見えた。

自分と同じ人を夜の街で見つけた

安堵感からだろうか...。


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