桜雪
「おうちの人は心配してない?」

家の人が警察なんか入っていたら店も彼女も俺も終わりだ。


「家は大丈夫です。」

少し悲しい顔で前を向き始めた。

家で何かあったのだろうか?それが直感だった。


「そっか。今日金曜日だから明日学校とかないよね?」

彼女をどうにかしてこの夜の街から遠ざけたかった。

彼女までこの夜の街の大人と同じ瞳で俺を見て欲しくなかった。



「ないです。」

「んじゃどっか遊び行かね?」

彼女にだけは何でも知っているような瞳で

俺を見つめるんじゃなくって

何も知らない不思議そうな瞳で見つめてほしかった。


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